カウンセリングの疑問がわかるコラム ~(全4話)~
第一話:人はなぜ悩むのでしょうか
人は、主に二つの生命活動を行っています。
一つは、感じている「感覚」、もう一つは考えている「思考」です。
感覚は、痛い、楽しい、しんどい、うれしい、苦しい、楽、悲しいという感じを、
体で感じることや、今見えていることや、今聞こえていることで感じています。
一方、思考は感覚からくるメッセージに「言葉」をあてがって意味を認識し、
想像や自分の経験や体験を思い出しながら、「言葉」で脳内にイメージを作ります。
そのとき、疑似的な「感覚」を感じることをしています。
例えば、読書や映画を見たりしているときは、実際には感覚としては
起こっていないけど、イメージの疑似的な「感覚」を使って思考を動かしています。
本当にイメージしたことが実際の感覚にならないから、安心して想像できるわけです。
このように実際の「感覚」と「思考」は、連携して今この瞬間を生きることに使われますが、
人類だけが特に発達した二つの特別な状態があります。
1:実際の「感覚」を伴わないで想像しながら「思考」だけを動かす能力。(催眠状態)
2:実際の「感覚」を「思考」まで繋げずに、「感覚」だけで抑え込む能力。(抑圧状態)
この状態を上手に使い分けながら、豊かな人生を送っている。
進化した動物として、「幸福」がいっぱいの社会と人間関係に囲まれるはずでした。。。
しかし、そのために人はほかの動物にはない、「思考」だけの価値観、倫理、お金や仕事という
社会性のある概念に振り回されたり、あまりにも「感覚」を抑え込みすぎたため、
変な行動をしたり、悩むようになる「人間しかもたない悩み」を持つ生命体になってしまいました。
ここまではちょっと難しかったかもしれません。
話を簡略すると、悩みは次の種類に2つになります。
一つは、「思考」を整理したり、まとまらなかったり、落ち着かない悩み。
これを「頭が騒がしい状態」と名付けましょう。
人付き合いでのトラブルや、仕事や家族関係のことなど、
うまくいかないことでグルグルしているときはこの「頭が騒がしい状態」になります。
もう一つは、「感覚」からくるメッセージが上手に「思考」につなげることができない悩みです。
これを、「本当の自分がわからない状態」と名付けましょう。
我慢する癖があったり、愛情が足りないことを訴えることができなかったり、
自然に生きているのなら「さみしい」、「苦しい」、「悲しい」という言葉が出るのに。
それをグッとこらえていると、必要な感覚を「思考」につなげられなくなります。
皆さんの悩みも、「頭が騒がしい状態」か、「本当の自分がわからない状態」のどちらか、
あるいは、両方あることもあります。
「傾聴」カウンセリングは、この両方の悩みを解決に導きます。
その理由は第二話で説明しますね。
文章:公認心理師 サイモン隆明
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